『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』感想
個人的にはティム・バートンは監督で選んでクリント・イーストウッドと同じくハズレが少ない。が、今回はファンタジーの世界観に入り込めず、消化不良。
あらすじ
フロリダで生まれ育ったジェイクは、周囲になじめない孤独な少年。そんな彼の唯一の理解者である祖父が謎めいた死を遂げた。祖父の遺言に従って小さな島を訪れたジェイクは、森の奥で古めかしい屋敷を発見。そこには美しくも厳格なミス・ペレグリンと奇妙なこどもたちが住んでいた。やがて彼らと心を通わせ、夢のような時間を過ごしたジェイクは、自らに宿ったある“力”に気づき、屋敷に迫る恐るべき脅威に立ち向かっていくのだった……。
出典:公式サイトより
感想
ティム・バートン常連のジョニー・デップは出演せず。エヴァ・グリーン演じるミス・ペレグリンが一番目立つ役だが、インパクトはジョニデのキャラほど強烈じゃない。ただ目力は強くてまばたきしないせいか、見ていると何故か不安になってくる。
導入部が長く奇妙な子どもたちが出てくるまでやや退屈する。
奇妙な子どもたちはみな特殊な能力を持っており、一人ひとりの能力説明がこれまた長い。怪力、透明人間、手で触れて発火させる能力は、X-Menに出てくるミュータントの能力とかぶっていて目新しさはない。だがその中で植物を巨大化させる能力や無生物に仮の命を与えて操る能力はジョジョに出てくるスタンド能力のようでユニークだ。特に無生物を操るイーノックの能力は監督もお気に入りのようで、不気味なマペット同士を戦わせるシーンはいかにもティム・バートンらしい。
奇妙な子どもたちはミス・ペレグリンに孤児院のような館に匿われており、そこだけ第二次世界大戦中で時が止まったまま、なおかつ同じ毎日をループしているという、ややこしい設定。
ループしているのは、空襲から子どもたちを守るためで、その能力はミス・ペレグリンのものらしい。さらにミス・ペレグリンのような能力を持つ者からループのパワーを得ようと画策して失敗し、怪物化したのが今回の悪役バロン(サミュエル・L・ジャクソン)。
これらの関係は、あとからネットで調べてわかったが、ボーッと映画を見ている最中はあまり頭に入ってこなかった。原作があるらしいが、予備知識を得てから見るのがよいタイプの映画だ。ファンタジーに慣れた人はすんなり入り込めるのかもしれないが。
後半ミス・ペレグリンはバロンに捕らえられ、ループは崩壊する。エヴァ・グリーンはここでほぼ途中退場。今まで庇護されていた子どもたちが結束してバロン達に戦いを挑んでいくところからやっと盛り上がってくる。
子どもたちが特殊能力を生かして戦うシーンは楽しいが、対する大人の敵役が弱すぎて緊張感はまるでない。最後の戦いでも無生物を操るイーノックの能力は変化に富んでいて、やはり監督のお気に入りだったようだ。
サミュエル・L・ジャクソンは子どもたちとじゃれ合っているようではあるが、嬉々として演じているのはコントのようで楽しい。
実は主人公ジェイクも特殊能力を持っているのだが、他の子どもたちと比べると地味な印象。しかし敵を倒すのに必要な能力なので、最初の方で種明かしせずに最後まで引っ張って、自ら気づかせて大活躍するほうが良かった。
子供向けファンタジーの方に寄せているので多くの観客に受け入れられると思うが、ティム・バートンのいつものダークさを期待すると物足りない。原作『ハヤブサが守る家』の方がむしろダークらしいので、そのうち読んでみたい。
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